狂気と凶器と狂喜
「カカカカカッ…ふぅ。さて、これからどうしようかの。」
狂喜の老人は一頻り笑った後、これからの身の振り方を地図を見つつ考え始めた。
まずは、どこへ向かうか……市街地へ行けば"人"つまり獲物が集まっているだろう。
百貨店へ行けば獲物を"じわじわ"と弱らせるのに使える道具も置いてあるだろう。
だがそれらより老人の興味をひいたのは"廃ビル"という何の変哲もないような場所。
「もし"廃ビル"があの"廃ビル"じゃったら……カカッ。 」
老人は"もし"と言った。
だが老人は確信している、地図上の"廃ビル"が老人の快楽を満たすための狂気の遊技場であることを。
何故ならば何の変哲も無い"廃ビル"を地図にのせる必要はまったくないからだ。
「次は、参加者の確認と……カカカカカッ。」
老人は参加者名簿に目を通し、再び狂喜した。
要因は二つ 最も憎い存在である"斑目 獏"、そして最愛の息子"マルコ"いや老人にとっては"ロデム"の存在だ。
「カッカッカッ!最高じゃ!ロデムが!ロデムさえいれば!このゲームは……わしが!確実に!優勝する!
そして"嘘喰い"!今度は貴様が…カカッ!カカカカカッ!!」
「カカッ、いいぞいいぞ、最後は支給品の確認じゃな。」
そう言って、先ほど殺した少女のデイパックを開き……出した物を見て、老人は笑った。
「ッ…………カカカッ、最高じゃ。わしは、カカッ、本当に、カカカッ!ついとるぞぉ!!」
老人の狂喜を助長させた支給品とは何か、"防弾チョッキ"である。
狂気の老人は自らの命に執着する。だからこそ、その命を守る支給品を喜んだのだ。
「カカッ、カカカカカカッ、カッカッカ!」
老人は笑った、自らの幸運を、自らが蹂躙するであろう獲物の命を。
そして、これから手に入れるであろう倶楽部 "賭郎" 22代目お屋形様という輝かしき将来を。
だが老人は幸運のあまり楽観的になりすぎてしまっていた。
"廃ビル"が老人の所持していたものであるとは限らないし、再びそこの支配者になれるとは限らない。
最悪の別れ方をした最愛の息子に注射器を簡単に刺せるわけがない。
防弾チョッキでは防ぎきれない程の"暴力"を所持した実力者達がこの殺し合いに参戦している。
だが老人がそれに気づくことは無い、幸運すぎるからだ。
何もかも失い死ぬはずだったという地獄から、自らの快楽を満たすことの出来る天国に来たという幸運。
最初に出会った参加者が簡単に殺せる幼女であったという幸運。地図に自らの居場所が載っていたという幸運。
最愛の息子と、最も憎い敵が参加していたという幸運。自らの命を守る支給品を手に入れたという幸運。
老人に与えられた幸運は、老人に対する油断を生んだ。そして幸運は老人にとっての甘い毒となる。
老人は笑い続ける。幸運の女神もまた、老人を嘲い続ける。
【F-6 鬱蒼と茂った森/一日目・深夜】
【名前】Q太郎(九重太郎)@嘘喰い
【状態】健康
【持ち物】ニューナンブ@現実(弾数4/5)、防弾チョッキ@現実、ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品0〜2)、
ラーヤのデイパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品0〜2)
【思考】
1:"廃ビル"へ向かう。
2:次の獲物を探しに行く。
3:"マルコ"もしくは"ロデム"を探す。
4:嘘喰い(斑目獏)に復讐する。
5:最後の1人になって屋形超えをする。
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