ドラゴンボールを探そう!






「もうちょっとで見えるはず・・・・・・」



本来ならたくさんの車が走っているだろうに、今は人っ子一人いない道路。
そこに、ドラゴンレーダーを握り締め、時々その画面を確認しながら走る小さな少女の姿があった。

雄一郎から手に入れたドラゴンレーダー、そのレーダーの確認をしてみると、
本当にすぐ近くにドラゴンボールがあることが示されていた。
しかもそのドラゴンボールは移動している。つまり誰か参加者が持っているということ。
そう判断したマリィはその人物を確認するために先を急いでいたのだ。


(ドラゴンボールを持ってるのはどんな人かな。怖い人じゃないといいな。
 できればユウイチローみたいにあたしを守ってくれて、そして騙されてくれる人だといいんだけど。)


そんなことを考えつつ道路を走るのは若干10歳ほどの少女。
なんとも最近の子供というのは恐ろしいものである。

(見つけた!)

そんな彼女の視界にがむしゃらに走る一人の男の姿が映る。
奇遇なことに、それは数少ない彼女がこのゲームに来てから見知っている相手だった。
確か最初に殺された人の知り合いでゴクウという名前だったはずだ。
一人大声で叫び続けていたので印象に残っている。
あの男なら殺された人のために悲しんでいたようだし、いきなり襲ってきたりはしないだろう、そう判断した。



■ ■ ■


「そこのひとー! ゴクウー! ドラゴンボール持ってないー?」

悟空は後方から聞こえた幼い少女の声に驚いて立ち止まった。
いつもならこんな距離まで近づかれればすぐ気づくはずだが、考えに没頭しすぎてたせいで気づかなかったらしい。


「おめぇ誰だ? なんでオラの名前とドラゴンボールを持ってることを知ってるんだ?」
「あたしマリィ! それはね、これ。ドラゴンボールを捜すレーダーがあたしの支給品だったの。
 あと名前はあのクリリンって人が呼んでたでしょ? あたしもあの場所にいたから聞いてたよ」


悟空に走りよったマリィはドラゴンレーダーを見せ、無邪気な笑顔を浮かべてそう言った。


「ドラゴンレーダーだ! これがあれば簡単にドラゴンボールを集められる。
 なぁマリィ、オラにこのドラゴンレーダーを譲ってくんねぇか? 
 オラ、どうしてもドラゴンボールを集めてクリリンを生き返らせたいんだ。
 おめぇも見てたなら知ってるだろ?あいつ死んじまった。
 でもドラゴンボールを集めてあの男をぶっ倒してやれば生き返るんだよ!」

悟空は熱弁をふるいマリィに頼み込む。
当然だ。ドラゴンレーダーなしでドラゴンボール探しなんて無謀そのもの。
今までのドラゴンボール集めはすべてドラゴンレーダーがあってこそだったのだから。


「なに言ってるの? 悲しいのはわかるけど死んだ人は生き返らないんだよ。
 あたしもパパとママがいなくて寂しくてお兄ちゃんに頼んだことあるから気持ちはわかるけど……」
「いや! そんなことない! オラは実際にドラゴンボールで生き返らせたことがある!」

キョトンとしたマリィの言葉は興奮した言葉によってさえぎられる。

「神龍にあの野郎のせいで死んだ人を生き返らせてくださいって願いを叶えて貰えばいい。
 それでクリリンも、他にこの殺し合いで死人が出ててもみんな生き返るって
「ほ、ほんとに?」
「ああ! 本当さ、オラは嘘なんかついてねぇ。
 オラは今まで何度もドラゴンボールを集めて願いをかなえてもらってきたんだ。
 そんなオラが言うんだから間違いねぇさ」

悟空の自信に満ちた様子に、幼く、素直で思い込みの激しい性格のマリィは、
ドラゴンボールを集めたときのお願いは死んだ人間を蘇らせるなんてものでも大丈夫なのを理解した。
そう、そういえばあのとき言っていた。僕が叶えれる望みなら、全て叶えよう。
叶えられない願いなら、ドラゴンボールを集めれば神龍が何でも叶えてくれるって――。

「本当に……ドラゴンボールって集めたらそんな願い事までかなえてもらえるんだ・・・・・・。
 でも、あたしちゃんとした武器になるものなんにも持ってないの。
 ゴクウにこのドラゴンレーダー渡しちゃったら本当になにもなくなっちゃうよ。それより、ゴクウと一緒にいさせて? 
 そしたらゴクウはドラゴンボールを探せるし、あたしも誰かと一緒にいたい。
 ドラゴンボール探しのお手伝いもできるよ!
 ボールを渡してくれない人とかがいても、あたしみたいな女の子なら油断させられるかも」
「ありがとうマリィ。そうしてくれるとありがてぇ。もちろんマリィのことはオラが守ってやるよ」


こうして、『ドラゴンボールを集めてこのバトルロワイアルをなかったことにする』というスタンスのチームが誕生した。






    ■ ■ ■




いい人と出会っちゃった。ゴクウはドラゴンボールについて詳しいし、
強いみたいだから殺し合いに乗ってる人からあたしを守ってくれる。
それに、あたしのためにドラゴンボールを集めてくれるしね♪

最後の一人になって、ハレのところに帰してっていうお願いするつもりだったいけど、
ドラゴンボールならもっと凄いお願いもできるんだ。
6個集めたらあのおじさんと勝負できて、勝ったらなんでも願いをかなえてもらえるんだよね。
勝負方法はなんでもいいって言ってたし、お洋服づくりで勝負とかどうかな。
きっとあのおじさんお洋服なんて作ったことないし、あたしが勝てるはず。
そしたらね! そしたらね! ハレがあたしだけに夢中になってくれるように頼むの!
絶対にハレを離さないほど魅力的になったあたし。
他の女なんかに目もくれず、あたしにだけ甘い言葉をくれるハレ。
ああ――なんて幸せな未来なんだろう。今から凄くうれしすぎて顔が緩んじゃう。



(ゴクウ、悪いけどドラゴンボールを全部集めたら、そしたらこの『お水』を飲んでね♪)







【C-4 道路/一日目深夜】



【名前】孫悟空@ドラゴンボール
【状態】健康、クリリンの死に対するショック
【装備】なし
【持ち物】四星球@ドラゴンボール、ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品0〜2)
【思考】
0:ドラゴンボールを六つ集めて主催者と勝負。
  主催者を倒して殺し合いで死んだ人達を全員生き返らせる。
1:マリィと一緒にドラゴンボール集めをする。
※参戦時期はベジータとナッパが地球に来た頃です。




【名前】マリィ@ジャングルはいつもハレのちグゥ
【状態】健康
【持ち物】ディパック(基本支給品一式・水と食料が二人分)、ドラゴンレーダー、カビ取り洗剤、
       超神水@ドラゴンボール(残量1/3程度)
【思考】
0:ドラゴンボールを六つ集めて主催者と勝負。
  ハレが自分にだけ夢中になるようにしてもらう。
1:ゴクウと一緒にドラゴンボール集めをする。全部集めたらゴクウは用済み。



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