真夜中、全てのスパイが…
「…どうなってんのコレ?」
デイヴ・リズウスキー…またの名をキックアスは、開口一番そんな言葉漏らした。
何時ものようにコスチュームを着て街を巡回(というか徘徊)し、家に帰ってベッドに入ったと思ったら、何故だか知らない場所にいたのだ。
仕方のないことかもしれない。
そこは学校のホールくらいの広さがある場所で、デイヴ以外にも大勢の人間達がいた。
皆デイヴと同じか、それ以上にユニークなコスチュームを着ており、まるでコミックから抜け出してきたかのようだ。
(…なんかのイベントに招待されたのかな?それとも新手のドッキリ?)
デイヴの頭にそんな考えが過ったが、周囲の人々もデイヴと同じく混乱しているようで、イベントでもドッキリでもないようだ。
ならば、コレは一体どういうことだろう?
デイヴの頭の中は?マークで一杯になった。
その時、ホール前方にスポットライトが当てられた。見ると、そこには一人の人間が立っていた。
いや、人であるかは怪しい。
そこに立っていたのは、灰色の顔をしたゴリラのように大柄な怪人だったのである。周りには緑色のタイツを着たコミックに出てきそうな戦闘員が固まっている。
「…数多の並行宇宙より、よくぞ集まってくれたな戦士諸君」
怪人は重々しい口調でその場に全員に言った。
「ダークサイド!貴様今度は何を企んでいる!?」
会場の中から声が上がった。
「落ち着けスーパーマン、それは今から説明しよう」
怪人は会場からの叫びに静かな、それでいて重々しい口調で答えた。
「これより…ここにいる全員で殺し合いをしてもらう」
「ルールは単純明快。この場にいる全員で殺し合いを行い、最後に残った者が勝者となる。
勝者には、このアポコリプスの支配者はダークサイドの名において如何なる願いでも叶えよう。
不老不死になりたくばしてやろう。
巨万の富が欲しくば与えよう。
このダークサイドに不可能はない」
訳がわからなかった。
いきなり変な怪人に浚われたと思えば、次の瞬間には「殺し合いをしろ」と言われたのだ。
デイヴの頭は混乱していた。
「ふざけるなダークサイド!」
突然、蝙蝠のコスチュームを着た男が叫んだ。
「そんな事を言って、我々が殺し合いに乗るとでも思っているのか!?」
「確かにそうだなバットマン…だが、諸君は殺し合う以外にないのだ。
諸君には特注の首輪をつけさせてもらった」
「…えっ?」
言われて首を触ると、確かに金属の感触がそこにあった。
会場内にいる全員が首輪に触ったことを確認すると、怪人はおもむろに指をパチンと鳴らした。
次の瞬間、ボシュン!という音と共に、二人の男性の体が吹き飛び、首輪だけが残った。
「その首輪にはイントリンジックフィールド除去装置が組み込まれていて、一瞬にして諸君の肉体を原子レベルで崩壊させることが出来る。
我々に逆らったり、我々が用意した会場から逃げだそうとすると、除去装置は作動するように設定されている。
また、24時間以内に一人も死者が出なかったり、会場内の立ち入り禁止エリアに侵入した場合も、装置は作動するようになっている。充分注意してくれたまえ」
怪人―ダークサイドは何の感情の変化も見せずに淡々と語った。
「諸君にはそれぞれ食料と参加者名簿、武器が支給される。
たとえ超人クラスが相手でも優位になれるかもしれないし、逆に普通の人間に殺されるかもしれない。
そこは運まかせだ。
最後に、6時間ごとに立ち入り禁止エリアと死亡者を知らせる放送を流す。
聞き漏らさないようにな…」
ダークサイドが語り終えると、突如天井に光の穴が出現した。
すると、会場にいた人間達が次々にその光の穴に吸い込まれていった。
会場にいた人間全員が吸い込まれると、光の穴は現れた時と同じく忽然と消え、後にはダークサイドだけが残された。
「見事でしたな、流石はアポコリプスの支配者ですな」
振り替えると、そこには軍服を着た老人が立っていた。
老人は恐れる様子を全く見せずに、ダークサイドに近づいていった。
「…ルールの説明ぐらいなら、貴様がやった方が良かったのではないか?ストラッカー」
「確かにそうですが…やはりここは、アポコリプスの支配者であるダークサイド殿が行った方が相応しいでしょう」
老人―国際テロ組織「ヒドラ」のボス、バロン・フォン・ストラッカーは肩をすくめた。
「……」
ダークサイドはきびすを反して会場を後にした。
その跡にバロン・フォン・ストラッカーも続いたのだった。
コメディアン【DC】死亡
ニック・フューリー【マーベル】死亡
残り44名
アメコミ・ロワイアル
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